第3回 もうすぐ3.11

令和4年3月4日

▶もうすぐ3.11。あの時の原発事故の恐怖は忘れられない。目に見えない放射能に、公園で遊ぶ我が子を心配し「放射線測定器」を手にする母親の姿もあった。福島などでは汚染は当然に水にまで及び、洗濯水にと期限間近の保存水がリサイクルリユースされている。チェルノブイリの記憶と相まって、家族の健康被害を常に不安視した11年間であったろう。▶︎東欧ではその原発に紛争の火種は飛び火し、兵器としての「核」というあり得ない言葉までもが聞こえて来る。世界で唯一の被曝国の国民として、無力ながらも「平和」と「安全」を願うだけだ。夏と冬のオリンピックパラリンピックに挟まれた今、世界中の誰もに笑顔が戻り、純粋にスポーツ観戦ができる日が来ますようにと。▶︎「防災」を生業にする私たちは、常に自然の脅威を意識し、使う人の想いを製品作りに込めてきた。いつ来てもおかしくない大災害に慄き、新型コロナとも戦う今、それ以上のことにまで備えるゆとりはないのが現実だ。▶︎ もう一度命の尊厳について考えよう。どんな状況でも、かけがえのないもの、一番重いものであって欲しい。「安心安全」という言葉を仕事柄使うことも多いが、これからはそれに「平和」も付け加えようと心に誓う今日この頃である。

 

 

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